「来週の報告会のスライド、まだ1枚もできていない」「AIに作らせてみたけれど、それっぽい文が並ぶだけで結局ぜんぶ書き直した」。スライドや発表資料づくりで、こんな経験はないでしょうか。
私はゼミや輪読会の発表資料を、毎回AIと一緒に作っています。直近では、本1章ぶん(約37分の発表)のスライド29枚を1日で作りました。やってみて分かったのは、AIに「スライドを作って」と頼むのではなく、先に骨子を作らせ、最後に自分の言葉に直すと、使える資料になるということです。
この記事でわかること
- AIに頼む前に決める3つのこと(誰に・何分で・何を伝えるか)
- 材料から骨子(1枚1メッセージ)を作らせる手順と指示文の例
- 骨子を PowerPoint / Google スライドにするときの順番
- AIが書いた文を自分の言葉に直す点検の4項目
この記事の対象者
- 報告書・企画書・提案書・発表資料を作る機会が多く、毎回時間がかかっている方
- AIでスライドを作ってみたが、そのままでは使えなかった方
- プログラミングは使わず、ふだんの対話画面のAIだけで進めたい方
AIに「スライドを作って」と頼むとうまくいかない理由
いきなり「◯◯についてスライドを作って」と頼むと、AIは中身と見た目を同時に決めようとします。その結果、どこかで見たような見出しと、もっともらしいけれど自分は言っていない理由が並んだ資料が出てきます。直す箇所が多すぎて、結局ゼロから書くのと変わらなくなります。
そこで、作業を次の順番に分けます。
- 決める: 誰に・何分で・何を伝えるか(人が決める)
- 骨子: 材料から、1枚1メッセージの見出しの並びを作る(AIに作らせる)
- スライド化: 骨子をスライドの形にする(AI+人)
- 点検: AIの文を自分の言葉に直す(人がやる)
ポイントは中身と見た目を分けることです。デザインは最後に整えます。先に見た目を作ると、中身を直すたびにレイアウトも崩れます。
手順1:誰に・何分で・何を伝えるかを書く
AIに渡す前に、次の3行を自分で書きます。ここが曖昧だと、骨子も曖昧になります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 誰に | 部長と同じ課のメンバー5人 |
| 何分で | 10分(質疑は別に5分) |
| 何を伝えるか | 先月の問い合わせが増えた理由と、来月から変えること2つ |
発表時間が決まると枚数の目安も決まります。1枚あたり1分前後で考えると、10分なら8〜10枚です。
手順2:材料を渡して骨子を作らせる
材料は、メモ・既存の資料・会議の議事録・本のページの写真など、手元にあるもので構いません。私の輪読資料では、本のページを写真で撮り、AIにまず要点のメモにまとめさせてから骨子にしました。スマホでの撮り方と指示文の例は Claudeスマホの使い方5選 にまとめています。
指示文は、たとえば次のように書きます。
次の材料から、発表スライドの骨子を作ってください。
- 聞き手: 部長と同じ課のメンバー5人
- 時間: 10分(8〜10枚)
- 伝えたいこと: 先月の問い合わせが増えた理由と、来月から変えること2つ
ルール:
- 1枚に1つのメッセージ。各スライドは「見出し(言いたいことを1文で)」と「根拠の箇条書き3つまで」
- 細かい説明は「発表者ノート」として分けて書く
- 材料に書いていない理由・数字は足さない。足りないところは「(要確認)」と書く
材料:
(ここにメモや資料を貼る)
最後のルールが大事です。AIは、つながりの良い文にするために、材料に無い理由や数字を足しがちです。「足さない」「分からないところは要確認と書く」と先に決めておくと、あとの点検がずっと楽になります。
手順3:骨子をスライドの形にする
骨子ができたら、まず見出しの並びだけを読んで、話の順番がおかしくないかを確かめます。ここで直すのが一番安くつきます。
順番が決まったら、スライドにします。
- PowerPoint の場合: 骨子をアウトライン表示に貼り付けると、見出しがそのままスライドのタイトルになります。AIによっては、骨子から .pptx ファイルを作って出してくれるものもあります
- Google スライドの場合: 1枚ずつ見出しと箇条書きを貼り、発表者ノートに説明を貼ります
見た目(色・フォント・図)はこの段階では最小限にします。全部の中身が固まってから、テーマを1つ選んで一度に整えます。
手順4:AIの文を自分の言葉に直す点検
ここを飛ばすと「AIが作った資料」になってしまいます。私が毎回見ているのは次の4つです。
| 点検すること | よくある例と直し方 |
|---|---|
| 言っていない理由・因果が足されていないか | 「〜したため、◯◯が改善した」→ 材料に因果が書いていなければ「〜した。同じ時期に◯◯が増えた」と事実だけにする |
| 数字と出典が材料と合っているか | AIが四捨五入や単位を変えていることがある。元の表と1つずつ見比べる |
| 曖昧な言葉が残っていないか | 「最適化する」「強化する」→ 実際にやること(「返信の雛形を3つ作る」など)に言い換える |
| 自分が口で言える文か | 声に出して読んで、ふだん使わない言い回しは自分の言い方に直す |
直すのはあくまで自分です。AIは下書きを速く出す道具で、資料の中身に責任を持つのは発表する人です。
次から1人で回すために:指示文を1枚残す
うまくいった指示文は、メモ帳などに1枚残しておきます。次の資料では「聞き手・時間・伝えたいこと・材料」を差し替えるだけで、同じ流れを最初から回せます。私も、発表の種類(輪読・ゼミ・中間発表)ごとにこの「型」を持っていて、毎回それを使っています。
よくある質問
Q. 無料版のAIでもできますか?
できます。Claude・ChatGPT・Gemini のどれでも、この記事の手順1〜4は無料版で進められます。長い資料を一度に渡すと途中で切れることがあるので、材料が多いときは章ごとに分けて渡します。
Q. 社外秘の資料をAIに入れても大丈夫ですか?
お勤め先のルールに従ってください。ルールが無い場合も、固有名詞や金額を伏せ字にしてから渡すなどの工夫をおすすめします。
まとめ
- AIに頼む前に、誰に・何分で・何を伝えるかを3行で書く
- 材料を渡して、1枚1メッセージの骨子を作らせる。「材料に無いことは足さない」と指示する
- 骨子の順番を確かめてからスライドにする。見た目は最後
- AIの文は自分の言葉に直す(因果・数字・曖昧な言葉・口で言えるか)
- うまくいった指示文を1枚残し、次から使い回す